「ジドウケシゴム」
ザラマンゥはおしりから細い糸を出して糸を何かに引っかけてぶらぶらしているというからクモなのかと思うけど、ぶらぶらするのをやめて誰かに寄生したりもするからクモじゃない。寄生というのは中に入ることだ。しかしザラマンゥは中に入るというより重なるから、(少しはみ出しながら)、寄生というよりそれに、成る。この話はそのザラマンゥの語りで出来ている。あらゆるものに成る、成れる、ザラマンゥの目線。ずいぶんわたしたち寄りではあるけれど、わたしたちとは根本的に違うもの、の目線。よしのさんは無謀にもそれをここに書こうと書いた。そもそも人間には不可能なことを、なけなしのそうぞうりょく、だけを道具に言葉にしようとこれを書いた。人間寄りなのはよしのさんが人間だからだがその挑戦。それこそがわたしには小説だ
(刊行時配布チラシに寄せていただいた紹介文)
――山下澄人

しんで、うまれて、いれかわる
「移動する民」と呼ばれる者たちを
ザラマンゥはずっと見ている
これまでも、これからも
《生きている》が紡ぐ名もない物語
初版第1刷 2023年1月27日発行(オレンジ色)
初版第2刷 2023年9月27日発行(もえぎ色)
初版第3刷 2024年2月6日発行(もえぎ色)
B6判 138ページ 時価
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